2008年10月30日木曜日

08 Season Review ① Best Five Games

 102敗もしたのですから、レビューを書くとすれば、敗因は何かということが中心になってしまいがちですが、せっかく応援してきたのだから、いい面に光を当てて、まずは、全59勝の中でベスト5試合を(独断で)選んでみました。

1.ジマーマンのサヨナラ本塁打で開幕戦を飾る(3/30 Braves W3x-2

 新球場ナショナルズ・パークのこけら落しにブッシュ大統領を迎えてのブレーブスとの開幕戦。開幕投手はOdalis Perez。1回に幸先良く2点を先制したものの、ブレーブス先発のTim Hudson以下の投手陣の前に1回裏2死から最後のRyan Zimmermanの打席まで実に24者連続で凡退(思えば、この試合から貧打ぶりははじまっていました)で、追加点はなく、勝利目前の9回表にとうとうパスボールで追いつかれがっくりでした。しかし、2-2で迎えた9回裏、Zimmermanがサヨナラホームランを放っての劇的な勝利で、記念すべきナショナルズ・パーク開幕戦を飾りました。

 この日の興奮は今もっても忘れられませんが、もう何年も前のことのようにも感じます(笑)。続くフィリーズ戦でも連勝し、合わせて開幕3連勝というこの上ないスタートを見せましたが、思えばこれが08年ナショナルズの絶頂期。直後に9連敗。以降、勝率5割を上回ることも、NL東地区で最下位を脱することもありませんでした。

2.ラナンが3000奪三振のスモルツに投げ勝つ(4/22 @ATL W6-0

 今季はとにかく打線が打てなかった。9月になってようやく役者がそろいチームとしての打撃成績も向上しましたが、それまではほとんどの打撃成績でリーグ最下位でしたから。完封負けも21試合に上りました。どんなに好投しても、勝ち星にはなかなかつながらない、投手には我慢が求められるシーズンでした。

 John Lannanの今シーズン初勝利となった試合。相手先発のJohn Smolzが通算3000奪三振という偉業を達成したこの試合で、7回まで堂々と渡り合い、1-0でリードした状況で降板、見事な勝ち星をあげました。Lannanはこの試合に限らず、MVP POINTを記録した試合だけでも6試合、負けた試合でも4月17日のメッツ戦で6回11奪三振、6月17日のツインズ戦など、好投は枚挙に暇はありませんが、この試合の印象が一番強いですね。

3.好守で大ピンチをしのぎ息詰まる投手戦を制す(5/15 @NYM W1-0

 全く精彩を欠きシーズン終盤にはブルペンに回されてしまったJay Bergmannですが、5月は素晴らしかった。今シーズンわずか2勝のうちの1つがこの試合でしたが、7回を3安打2四球9奪三振の快投。とはいえナッツ打線も相手先発Mike Pelfreyの前に6回まではノーヒットで、しびれるような投手戦となりました。8回に唯一のチャンスをものにして犠牲フライにより1点を奪うと、8、9回にはピンチをWillie Harrisのダイビング・キャッチをはじめとするドラマチックな守備でしのぎきりました。もともと1-0の試合は大好きなのですが、中でも一際手に汗を握る試合でした。 

4.お目覚めデュークスが延長10回逆転サヨナラ弾(6/5 @STL W10x-9

 戦列を離れることが多く81試合の出場に終わったElijah Dukesでしたが、出場した試合では強い印象を与えました。この試合もその1つ。開幕戦でいきなり故障。5月に入って復帰しましたが完全に癒えないままだったこともあり、この試合の前までは打率.155(9/58)と深刻な打撃不振でした。ところが、この試合で突如爆発。三塁打、シングル、シングルのあと、10回裏にようやくのシーズン第1号となる逆転サヨナラ本塁打を放ちました。他にも、6/20、8/30、9/7には延長戦で勝利打点を記録、8/28と9/6には1試合2本塁打を放つなど、クラッチぶりとパワーを見せてくれました。健康と素行さえなんとかなれば、ナショナルズでなくても主力を打てる打者です。

5.バレスターがメジャー初先発初勝利(7/1 @FLA W9-6

 開幕前BAで組織内3位のトッププロスペクトと評され、開幕からAAAで好成績を残し、堂々とメジャー昇格を果たしたCollin Balesterの初登板。5回1安打3四球3奪三振1失点の内容で、打線の援護もあり、見事に勝ち投手となりました。シーズン終盤は疲労もあったのか、成績を落としましたが、来シーズンは開幕ローテーションの柱として飛躍してくれることを願います。

 このBalesterの昇格の頃から、チームはペナントをあきらめ、来シーズン以降を見越した選手起用を始めました。Steven Shell、Roger Bernadina、そして9月には入るとMike Hinckley、Shairon Martisなどがデビューし、そこそこ活躍しました(もちろん、期待はずれな選手も多くいましたが)。移籍して来たEmilio Bonifacioなどを含め、来シーズンの戦力として期待しています。

 7月1日の試合まで5試合になりました。この後も、当然ながらあと半分シーズンは続いたのですが、残念ながらベスト・ゲームに数えられるような試合はほとんどありませんでした。候補になるのはShairon Martisがメジャー初勝利をあげた9/23の試合くらいでしょうか。8/28のグズマンのサイクル安打など、個々の選手のいいパフォーマンスはありましたが、やはりペナントをあきらめたチームの試合でファンが感動することはありません。来年はシーズンを通じて好ゲームを続けてくれるよう、お願いします。

08 Season Review プロローグ

 08年のワールドシリーズは、フィラデルフィア・フィリーズが1980年以来2度目の制覇を成し遂げ幕を下ろしたわけですが、ナショナルズにとってこのシリーズにはもう一つ看過できない側面がありました。それは、敗れたとはいえタンパベイ・レイズがチーム初のワールドシリーズに進出を果たし、「最も情けないフランチャイズ」の肩書きをあっさり返上したこと。ここ4年でヒューストン、コロラドそしてタンパベイと3チームが初のリーグ優勝を飾り、これで「ワールドシリーズ出場経験のないフランチャイズ」は、シアトル、テキサス、ワシントンの3球団のみとなりました。

 このうちマリナーズはプレーオフには4度、うち3度はALCSまでコマを進めており、頭一つ抜けています。残りの2球団の過去のプレーオフ戦績は以下のとおり。出場1回のみと未だシリーズ勝ち上がりなし、どちらが情けないのでしょうか?

Washington Nationals (Montreal Expos)
 (1981) [NLDS] W3-2 Phillies [NLCS] L2-3 Dodgers

Texas Ragers (Washington Senators)
 (1996) [ALDL] L1-3 Yankees
 (1998) [ALDL] L0-3 Yankees
 (1999) [ALDL] L0-3 Yankees


 プレーオフ出場回数でレンジャーズを上回ることが当面(5ヵ年計画?)の目標です。 

***************

 そんなワールドシリーズも終わったところで、これから何回かにわけてナショナルズの08年シーズンレビューを書いていきます。30球団中30位に終わったチームですから、シーズンレビューを書くのも正直苦痛でした。何度も途中で投げ出したくなりましたが、せっかく1年間追いかけてきたのだからと奮い立たせて自分なりにいろいろ書いてみたものを順番にアップしていきたいと思います。

2008年10月27日月曜日

新コーチ陣発表

 いつまでもGMのがんの話題がトップというのもなんなので、大して関心も集めるとも思えませんが、コーチ陣が発表されていたので、紹介しておきます。シーズン最終日にManny Acta監督とRandy St. Clair投手コーチ以外を解雇し、刷新しました。

Bench Coach: Jim Riggleman
First Base Coach: Maquis Grissom
Third Base Coach: Pat Listach
Hitting Coach: Rick Eckstein
Bullpen Coach: Randy Knorr

 Jim Rigglemanは、92年~99年までパドレス、カブスで監督を務め、今季もマリナーズのベンチコーチを務めていましたが、シーズン途中に解任された前監督に代わって指揮をとりました。ただ、地区優勝の経験もなく、どうかな、という印象です。

 Marquis Grissomは、05年のジャイアンツを最後に引退した後、初めての首脳陣入り。エキスポス時代に盗塁王2度、オールスターにも2度選出の外野手で、外野守備、走塁の指導も期待されます。
 
 Pat Listachは、92年にブリューワーズでショートとしてデビューし新人王を獲得も、その後はパッとせず97年を最後に引退。今季まで3年間はカブスのマイナー組織で監督を務めてきました。

 Rick Ecksteinは、AAAの打撃コーチから内部昇格。コーチとしての評価は全米的に高く、北京オリンピックのアメリカ代表チームの打撃コーチも務めました。今季のナショナルズは深刻な貧打に悩み、シーズン中しばしば打撃コーチに批判の矛先が向けられていました。打撃コーチ一人で全てが変わるとは当然思いませんが、ちょっと期待したくなります。

 Randy Knorrも内部昇格。捕手出身。今季はPotnomac(A+)の指揮をとり、見事にリーグ優勝を果たしました。

2008年10月21日火曜日

Jim Bowden GMが皮膚ガンの手術

 (チームの成績からして致し方ないとはいえ)近頃、散々に言われているジム・ボーデンGMですが、本人が皮膚ガンの手術を受けたことを公表しました。6月の定期検診で発見されましたが、シーズン終了まで手術を先送りしていたようです(健康上の不安によってパフォーマンスが落ちてはいなかったと信じたい・・・)。術後の経過は良好で、1週間ほど離れていただけでその後の業務に支障はないとのことです。
 
 何はともあれ、まだ47歳の若さ、健康をお祈りします。

 それにしても、WS直前のこの時期に、こんな記事か・・・。

2008年10月19日日曜日

AFL (10/18まで)

 ALCSがホットな今日この頃ですが、ナショナルズはむろん無関係。粛々とプロスペクトの話題などを提供させていただきます。

 Arizona Fall Leagueが始まって2週。ナショナルズの7選手が所属するPeoria Saguarosも11試合を消化。各選手たちの成績は以下の通り。

 投手陣の中では数字の悪いVan Allenですが、2試合続けて崩れた後、3試合目は3回無失点の好投でした。Detwiterは3試合とも2番手で登板し、いずれも2回を無失点。制球を重視しているようですね。結果を見る限り、とてもうれしいです。リリーフの2人もしっかり投げています。

LHSP Ross Detwiler
 3G 6.0IP 0.00ERA 1.00WHIP 2BB 1K
LHSP Cory VanAllen
 3G 7.0IP 6.43ERA 1.57WHIP 1BB 6K
RHRP Zech Zinicola
 4G 5.2IP 1.59ERA 1.06WHIP 2BB 6K
RHRP Adam Carr
 4G 4.1IP 2.08ERA 1.38WHIP 1BB 5K

 打者は3人ともまずまずといったところでしょうか。一番出番を与えられているのがDavis。主軸で打たせてもらっており、打点も稼いでいますね。ファーストには各球団の有望株がそろっているためRhinehartの出番は限られているようです。打順も下位に回されています。ただ、同じく下位打線で出場の多いDesmondともども、なかなかの選球眼を示しています(Desmondは三振も多いですが)。「RhinehartのAFLでの課題は選球眼の向上」という記事を読みましたので、これでいいのかなとも思います。

SS Ian Desmond
 22AB 4R 0HR 3RBI 4BB 8K 273/370/273 1SB
1B Bill Rhinehart
 17AB 4R 0HR 1RBI 3BB 4K 235/381/235 0SB
OF Leonard Davis
 28AB 4R 0HR 6RBI 1BB 4K 286/333/393 1SB

2008年10月16日木曜日

Charlie Manning→STL (Claimed off waiver)

 ブルペン左腕のCharlie Manningを、40人ロースターから外すためのウェイバーにかけたところ、カージナルスに奪われました。

Charlie Manning (08 season)
57G 42.0IP 1W3L0SV 37K 5.14/1.57 [MLB]
19G 27.2IP 0W0L0SV 34K 1.95/1.19 [AAA]

 今シーズン29歳にして念願のメジャーデビューを果たし、8月2日のレッズ戦では初勝利。対左打者のワンポイントとしては十分使える(左打者の対戦打率は.203)と思いますので、ちょっと惜しいところですが、シーズン終盤のMike Hinckleyの台頭、来季開幕前に30歳になるという年齢、そもそもワンポイントを使うような戦いができるチームでないことから、40人ロースターから外されたのだと思います。

  新天地での活躍を祈ります。

2008年10月14日火曜日

Syracuse Chiefsと2年契約(AAA)

 出張先でもネットは確認できたのですが、日本語が(たぶん)使えない環境だったので、更新ご無沙汰しておりました。
 
 復帰初の更新が古いニュースで恐縮ですが、AAAのチームが代わりました。今シーズン、ナショナルズのAAAチームは、Columbus Clippardsでしたが、2年の契約が切れたことで、新たに、Syracuse Chiefsと2年契約を結びました。シラキュースはニューヨーク州北部の都市でD.C.からは飛行機で1時間と、いい距離にあります。もちろん選手たちはまとめて全員移籍することになります。誘致合戦が行われたり、契約に当たってあれやこれやと条件が付くところなどをみていると、マイナーチームといえども原則として独立企業であるといういことを再認識。
 
 下記がチーフスのロゴ。機関車かい・・・。
 AA以下のチームに異動はありませんでした。

2008年10月4日土曜日

お知らせ:1週間ほど南米へ

 仕事で1週間ほど南米へ出張してきます。その間ブログ更新はありませんのでご了承ください。まあ、この時期にナショナルズ関連で大したネタもないわけですが・・・。

 1人の野球ファンとしては、プレーオフも宴たけなわなのこの時期に観戦できないのは本当に残念。ほぼ決まったディヴィジョン・シリーズの後半を見逃すだけで、なんとかリーグ・チャンピオンシップ・シリーズには間に合いそうなのが、せめてもの救いです。

BA: 2008 International Lg. Top 20

 BAのマイナーリーグトップ20プロスペクト企画。最後にAAAのInternational League(元記事はこちら)。  

 ナショナルズ傘下のColumbusからは、ただ1人
 
18. Collin Balester

 が選ばれました。リーグが14チームですから、まあ、ぎりぎりOKです。Roger Bernadinaは入っても良かったと思いますが。

  全体1位は、レッズのJay Bruce外野手。Balesterもそうですが、AAAともなると、9月を待たずして昇格していった選手が多いので、もはやプロスペクトランキングという感じがしませんね。

 以上、今シーズンを終えてのBAの評価を見てきましたが、ナショナルズ傘下では、低いHigh-A以下のリーグでは多くの選手が選ばれましたが、AA、AAAはわずか1人ずつ。まだまだ再建途上にあることを、しかしその再建は着実に進んでいるということを、改めて確認しました。

2008年10月2日木曜日

NL Worst Execucitve of the Year (by SI)

 Sports IllustratedのJon Heyman氏がMVPやCy Youngの各賞の予想記事(原文はこちら)を書いています。ナ・リーグMVPに確かに驚異的な活躍とはいえ前半はア・リーグにいたManny Ramirezを選ぶなどかなり奇をてらった記事ではありますが、我がナショナルズのメンバーで登場したのはただ1人。

" NL Worst Executive: Jim Bowden, Nats. A perennial choice on principle. "

 めちゃくちゃな言われようです。

 さらに同記事の最後にはこんな文章が。

" • By the way, congrats to the Nationals for losing the weekend series to the Phillies and getting the first pick in the draft. I only feel sorry for San Diego State pitcher Stephen Strasburg, the likely No. 1 choice. "

 あんまりではございませんか(涙)。

2008年10月1日水曜日

トッププロスペクトの08年(投手編)

 続いて投手編。Collin Balesterは、これをもってプロスペクト卒業です。

LHS Ross Detwiler (Age 22 ‘07#1)
[A+] 26G 124.0IP 8W8L 114K 57BB 4.86/1.59


 いわずと知れた昨年のドラフト全体6位入団の左腕。今シーズンの開幕は、昨シーズンも5試合に登板していたA+ということで、順調ならシーズン中にステップアップしていくものと期待されていました。しかし、支配的な投球を見せるには至らず、結局、そのままフルシーズン過ごしてしまい、Potomacの一員としてリーグ優勝してしまいました(ポストシーズンでは2試合に登板して1勝0敗。10回1/3を13奪三振で4失点。)。
 課題は制球力と決め球、特に後者と言われています。球の走りが良い日は空振り三振が増えるのですが、そうでない日に打者を打ちとる球がないために球数ばかりが増えていく・・・。そんなに失点しているわけではないのに球数がリミットに到達し5回もたずに降板という試合が何度もありました。一度などは投球数が40球に達したために、1失点ながら初回2死満塁の場面で降板させられるということもありました(打者1人当たり7球を要したという計算になりますね)。
 それでも、シーズンが進むにつれ少しずつ防御率は良くなっていきました(月間防御率4.74→5.33→7.94→3.97→3.67)。チームとして優勝した(自身の最終登板も勝ち試合となった)こともあり、良い感じでシーズンを終えたのではないでしょうか。来シーズンの開幕は、もう一度A+か、AAに昇格か、悩ましいところです。来シーズン9月までには、メジャーに声がかかるくらいの活躍が欲しいところです。


RHS Collin Balester (Age 22 ‘04#4)
[MLB] 15G 80.0IP 3W 7L 50K 28BB 5.51/1.50
[AAA] 15G 78.2IP 9W 3L 64K 23BB 4.00/1.30

 順調にステップアップしてきて迎えた、高卒入団で5年目。メジャーのスプリングトレーニングにも参加しました。開幕はAAA。4月、5月は防御率4点台と、ぴりっとしませんでしたが、次第に調子を上げ、6月は4戦全勝防御率2.82という好成績を残し、7月1日に故障離脱のShawn Hillに代わってメジャー昇格を勝ち取りました。
 その初先発で5回1安打1失点の好投を見せ勝ち星をあげると、打順が2回り目に入る頃になると球が高めに上ずり出して打たれるという悪いパターンが見られる時もありましたが、そのまま3か月間、ローテーション投手として試合を作り続けました(勝ち星が伸びなかったのは攻撃力から言って仕方ない)。最終登板となった26日のフィリーズ戦でめった打ちされたのは、残念でした。
 スプリングトレーニングしだいですが、来シーズンもローテーションの3,4番手として期待されるはず。更なる飛躍を!


RHS Jordan Zimmermann (Age 22 ‘07#2)
[AA] 20G 106.2IP 7W 2L 103K 39BB 3.21/1.20
[A+] 5G 27.1IP 3W1L 31K 8BB 1.65/0.84

 2年目の今シーズン、もちろん期待はしていましたが、同期のDetwilerと一緒にA+で開幕を迎えることもあり、どうしても「2番手」という感じで見ていました。ところがシーズンが始まると、A+の打者を圧倒。4月末には週間MVPも獲得し、5月上旬にAAに昇格を果たしました。もはや、押しも押されもせぬ、プロスペクト「1番手」となりました。その後はAAでローテーションをしっかり守り、文句の付けようのない数字を残しました。奪三振数は、ナショナルズのマイナー全投手中で最多を記録。
 9月の昇格候補にも名が挙がりましたが、投球回数が予定に達していたこと、ルール5のためにプロテクトする必要がないことなどから見送られました。来シーズンは、スプリングトレーニングでメジャーのローテーションを争わせることをボーデンGMが明言していましたので、楽しみにしたいとは思いますが、あまり急がず、しっかりAAAで投げさせたい投手です(開幕AAAで、夏頃昇格なら十分です)。


RHS Colton Willems (Age 20 ‘06#1)
[A] 20G 109.1IP 5W9L 60K 31BB 3.70/1.23

 勝ち星こそ伸びませんでしたが、防御率が4点を上回ったのは5月だけ。安定した投球でAのローテーションを1年間守りました。奪三振率がやや低いのは気になりますが、90マイルを少し超えるストレート中心の組み立てでしっかり打ち取れたようです。

 高卒3年目。ここまでは順調。来シーズンは、A+に昇格でしょう。期待しています。


LHS Jack McGeary (Age 19 ‘07#6)
[A] 1G 4.0IP 0W0L 5K 3BB 4.50/2.25
[Rk] 12G 59.2IP 2W2L 64K 13BB 3.07/1.24

 進学希望が強かったためドラフト指名順位は下がりましたが、元々素材は高く評価されていた大型の左腕。実質プロ1年目の今年は、GCL(Rk)でシーズン通じてローテーションを守り、当初は不安定な投球もありましたが、次第に調子を上げてきました(8月の防御率は2.28)。また、イニング数を上回る三振を奪ってリーグの三振王になりました。ストレートの球速が昨シーズンよりも増した(90マイルを少し上回る)ことに加え、チェンジアップ、カーブの制球も良くなったようです。

 早く昇格させたいところですが、上記の契約のため、やや不透明です。


LHS Josh Smoker (Age 19 ‘07#1s)
[A] 5G 18.0IP 0W4L 21K 9BB 11.50/2.22
[Rk] 6G 26.1IP 2W1L 16K 13BB 1.37/1.25

 ジェットコースターのようなシーズンを過ごしました。4月の開幕はフロリダのチーム・サイトで迎え、そのままショートシーズン開幕まで待機かと言われていましたが、フロリダでの練習で高評価を得て、5月下旬にHagerstown(A)で実質プロ1年目をスタートしました。
 ところが、結果は散々。三振数こそイニング数を上回りましたが、とにかくヒットを(本塁打も)打たれ、5試合に先発しながら1勝も挙げることができないまま、1か月であえなく降格となりました。
そして、約1か月の間、フロリダのチーム・サイトで実戦から離れた練習・調整に費やし、7月後半にGCL(Rk)に合流して6試合に先発し、別人のような支配的な投球を見せました。誰だか知りませんが、復活させた投手コーチ、偉い!!
 来シーズンはAでリベンジを期待したいです。そして、ステップアップしていって欲しい。


Minor League Pitcher of the Year 2008 :

Jordan Zimmermann

 同期のDetwilerよりも前に出ると期待していた人は少なかったはず。ストレートの球速は90マイル台前半ながら、堂々とした投球スタイルで打者を圧倒していたようです。成功するためには、こういった雰囲気・オーラのようなものが必要だということでしょうか(英語ではmake-upと表現されています)。これからが本当に楽しみな、本物のトッププロスペクトです。

 

トッププロスペクトの08年(打者編)

 トッププロスペクトの1年を振り返ってみました。投打のナンバー1、Ross DetwilerとChris Marreroは、それぞれ不振とケガで残念な1年でした。2人とも1年遅れたのは確かですが、まだ期待していいと思います。他の選手の中で完全な期待はずれだったのはケガのJustin Maxwellくらいで、他は順調に成長してくれました。

 まずは打者編。

1B Chris Marrero (Age 20 ‘06#1) 

[A+] 70G 256AB 11HR 38RBI 25BB 55K 250/325/453

 BA、BP両方のプロスペクトランキングでチーム内の堂々1位と、大きな期待を背負って迎えた3年目の今季はPotomac(A+)で開幕。4月は開幕戦でホームランを放ったものの200/284/353(2HR)とかなりひどいスタートとなり気を揉みましたが、5月に入ると267/356/475(6HR)と持ち直し、6月も18日までの294/338/559(3HR)と上昇気流に。
 しかし、好事魔多し。18日の試合で本塁突入の際に足首を負傷。そのままシーズン終了。6月に入って三振数もぐっと減っており、何かをつかんだかと思われたところだっただけに、残念。今シーズン、ドラフト1順目指名のA***n C**wと契約できなかったことに次ぐ痛いニュースでした。
 もうそろそろプレーできるということですから、来年の開幕には十分間に合います。来シーズンもA+からやり直しかな。Burgessとチームメイトになるでしょうから、一緒にステップアップしてきて下さい。


RF Michael Burgess (Age 19 ‘07#1)
[A+] 19G 71AB 6HR 19RBI 9BB 26K 225/325/521
[A] 112G 410AB 18HR 60RBI 46BB 136K 249/335/469

 フルシーズン1年目をケガなく過ごせたのが何よりでした。何といっても魅力はパワー。本塁打は、全支配下選手中ではLeonard Davisに1本及ばず2位でしたが、計24本塁打と19歳にはなかなかのものです。週間MVPを獲得する爆発力も見せましたし、オールスターのホームラン競争でも優勝しました。一方で、三振王ぶりは一年間通じて変わりませんでした。四球もまずまず選びますが、三振率が3割近いですから課題は明らか。A+ポストシーズンにも出場し、Potomacのリーグ優勝に貢献しました。
 来シーズンの開幕もA+と見られていますが、課題を克服して、飛躍してくれることを願います。  


LF Justin Maxwell (Age 24 ‘05#4)
[AA] 43G 146AB 35R 7HR 28RBI 31BB 20K 233/367/459 13SB

 昨シーズン才能を開花し、セプテンバーコールアップでメジャーデビューすると満塁弾などでインパクトを与え、一躍トッププロスペクトとなりました。今シーズンは、メジャーのスプリングトレーニングでもよく打ち(269/367/538)、開幕25人枠争いにも名を連ねましたが、開幕はHarrisburg(AA)。打率こそ低かったものの、出塁率、長打率、打点、盗塁などで十分な成績を残していました。
 しかし、5月26日の試合の守備で右ひじを痛め、手術でシーズン終了。上でもケガ人が続出しただけに、健康なら間違いなく早い段階で呼ばれていたでしょう。残念。現在も、まだ完全には癒えていないようで、秋季リーグなどに参加する予定もありません。何とかケガをきちんと直してくれれば・・・と思いますが、もともとケガの多い選手。復活を願うばかりです。


2B Jake Smolinski (Age 19 ‘07#2)
[A] 50G 184AB 28R 4HR 22RBI 19BB 33K 261/338/402
[A-] 24G 98AB 17R 0HR 9RBI 9BB 17K 306/370/408
[Rk] 3G 9AB 0R 0HR 2RBI 1BB 1K 111/200/111

 アップダウンの激しい2年目のシーズンでした。開幕はHagerstown(A)。4月は、194/252/327という最悪のスタートでしたが、5月に入ると321/418/476とトッププロスペクトの面目躍如という活躍を見せました。ところが、その5月末に親指を故障し、無念の離脱。なんとか8月に復帰し、Vermont(A-)に合流してまずまずの成績を残し、最後の最後に週間打率.485と打ちまくって週間MVPを獲得しました。いい感じでシーズンを終われたと思います。
 来シーズンはAで再びスタートかな。まだまだ若いので、なんとか健康には気をつけて頑張って下さい。

 
1B Bill Rhinehart (Age 23 ‘07#11)
[AA] 61G 219AB 23R 7HR 29RBI 29BB 27K 233/321/397
[A+] 7G 25AB 5R 2HR 4RBI 2BB 5K 320/370/640
[A] 65G 261AB 39R 9HR 56RBI 21BB 36K 295/344/490

 さして期待もされずに迎えた開幕でしたが、Aで猛打が爆発しました。チャンスに強く、RBIマシーン状態で、週間MVPも獲得。オールスター戦でもホームランを放ちMVPを獲得。一躍トッププロスペクトの仲間入りを果たしました。ポジション的にブロックする形になっていたMarreroが6月にケガで離脱すると、代役としてA+に昇格。初打席でいきなりホームランを放つなどし、わずか1週間でさらにAAへ昇格。AAでも最初の10試合で10打点、7月中は3割近い打率で好調を維持していました。疲れが出たのか、最後の1か月は打率2割を切るスランプに陥ってしまいましたが、1年間本当に良くがんばりました。
 来年はAAスタートかな、応援しています!


SS Esmailyn Gonzalez (Age 18 Dominican Rep.)
[Rk] 51G 181AB 42R 2HR 33RBI 23BB 19K 343/431/475 9SB

 リーグ首位打者(出塁率も首位)を獲得するなど、3か月のシーズンを通じて、2番打者としてチームを引っ張りました。プレーオフの4試合でも、7打数16安打(.438)と打ちまくりました。長打はありませんが(まだ若いのでこれからパワーがついてくると期待したい)、ヒットを打つ技術は極めて高いようです。三振の少なさも目を引きます。課題は守備。チーム最多の18エラーを喫しました。ポジションから言って、ある程度は仕方ありませんが、3試合に1エラーは多すぎます。
 来シーズンは、Aからスタートでしょうか。 


Minor League Hitter of the Year 2008 :


Bill Rhinehart

 最後の1か月で数字を落としましたが、それでも評価を大きく上げた1年に変わりはありません。South Atlantic League オールスターのMVP獲得が何と言っても印象的でした。大卒入団で年齢が高いため、1年1年が勝負です。アリゾナ秋季リーグに派遣されることになりましたので、フロントとしても大いに期待しているとみて良さそうです。今年の活躍がまぐれでないことを証明し、来シーズンは、一気にメジャー昇格を狙って欲しいです。



p.s. 公式のMinor League Player of the YearはLeonard Davisが選ばれていました。確かにチームの本塁打王ですが、年齢的なことやこれまでのシーズンを考えると、プロスペクトと呼べるほどの伸びが今後期待できるかどうかは疑わしいと思って見ています。