2010年12月17日金曜日

Willinghamのトレード

 アスレティックスとの間で、Josh Willingham外野手と、ブルペンのHenry Rodriguez投手+ Corey Brown 外野手という1対2のトレードに合意しました。結論を先に書いてしまうと、個人的にはこのトレードには好印象を持ちました。

〔Willingham〕
 この2年間、(故障離脱していないときは)ナショナルズの5番レフトをしっかり務めてくれました。意外に勝負強い打撃で主軸を任せられる打者でした。守備範囲は決して広くはなかったものの、レフト前に落ちそうな打球を好捕したプレーもいくつか印象に残っています。ただ、トレードで獲得する前から言われていた「故障がち」という欠点がどうしても克服できず、2年とも前半はMVP投票で得票できるような好成績を残しながらオールスター後に失速していました。

 年俸調停3年目(最終年)で来季終了後にFA。今季年俸が460万ドルでしたから、年俸調停プロセスを経た来季年俸は600万ドル以上と予想される一方で、球団としては長期契約を結ぶ気がないようでしたので、トレードは時間の問題と見られていました。 よく貢献してくれたという印象。新天地での活躍を願っています。何より、ケガなく過ごせるといいですね。

 これで来季のナショナルズのレフトは、私の一押しRoger Bernadinaが主に守ることになります。Michael Morseの出番もちょっと増えるはずです。いい感じです。


[獲得した2人]
 ナショナルズが獲得したのはHenry RodriguezCorey Brownの2人。トップレベルではないにせよプロスペクトと呼べるだけの期待感はあります。

Henry Rodriguez (2010 OAK)
29G 27.2IP 13BB 33K 4.55/1.37 (MAJOR)
20G 21.1IP 9BB 31K 1.69/0.89 (AAA)

 ベネズエラ出身の23歳のブルペン右腕。19歳でA'sと契約してから順調にステップアップし、4年目の2009年シーズン終了間際にメジャーデビュー(3試合)。今季はAAAで支配的な投球を見せ、オールスター後はメジャーに定着しました。武器は、何と言っても103マイルを記録したこともあるファストボール。それにスライダーを織り交ぜ三振を奪っていきます。マイナー通算の奪三振率は11.6 K/9と素晴らしく、メジャーでも10.5 K/9と数字を落としていません。課題は同じくマイナー通算で6.6 BB/9という四球率に示される制球。典型的な荒削り投手ということですが、この冬のベネズエラ・ウィンターリーグでは、17試合20.1イニングを投げ、27奪三振、9四球とまずまずの数字を残しています。オプション切れということもあり、現時点では開幕ブルペン入りが濃厚。8回、あわよくば9回を任せられる投手に育ってくれることを期待しています。

Corey Brown (2010 OAK)
90G 386PA 10HR 19SB 52BB 93K .320/.415/.502 (AA)
41G 148PA 5HR 3SB 11BB 36K .193/.253/.378 (AAA)

 2007年のサンドイッチピック(全体57位)指名で入団の25歳の外野手。これまでは主にセンターを守ってきました。左投左打。パワーもあり、足もあり、外野守備も評価のあるアスリート型。BAのプロスペクトランキングでトップ10に入ったことはありませんが、昨年のアリゾナ秋季リーグに派遣されていましたので、それなりに期待されていたと思われます。そのアリゾナでは、ナショナルズから派遣されていたStrasburg、Storen、Espinosa等と同じチームで主軸を打ち、.333/.397/.619という素晴らしい結果を残しました。今季はAAの投手を粉砕し、オールスターにも出ましたが、初昇格したAAAで壁にぶつかった感じです。来季の開幕はAAAでとなりそうです。センターのレギュラーに育ってくれるのがベストシナリオですが、AAAでしっかり結果を残し、遅くとも来年9月までにメジャーデビューを果たすことが期待されます。まずはスプリングトレーニングを見てみたいところです。


[2008年11月トレードの評価]
 これで2008年11月のトレードでマーリンズからナショナルズに来たWillinghamとScott Olsenの2人ともが退団しました。Olsenは何も見返りなく退団しましたので、現時点までにナショナルズが得たものは、この2人の2年間のプレーでの貢献と、今回のRodriguezとBrown、ということになります。下記の通り、Willinghamは期待通り、Olsenは期待外れだったという評価となります。

Willingham (for Nationals 2009-2010)
249G 952PA 124R 40HR 117RBI .263/.377/.479 12SB

Olsen (for Nationals 2009-2010)
28G (26GS) 143.2IP 6W 12L 52BB 95K 5.76/1.59

 他方、あのトレードで放出した3人の選手の2年間の成績は下記の通り。Emilio Bonifacioはトレード後最初の対戦となった2009年の開幕戦でナショナルズ相手に大暴れしましたが、2年間での本塁打はあの試合でのランニングホームランだけと、あの試合がピークでした(笑)。結局レギュラーとして定着することはできず、今季はマイナー落ちも経験。まだ年俸調停前なのでそのままマーリンズに在籍していますが、来季もせいぜいユーティリティとして使われる程度と予想されています。Jake Smolinski内野手は、2009年に故障離脱したこともあり、あまり成長していません(まだ21歳と若いので可能性残されていますが)。そして、当時はSmolinskiよりももったいないと思われたP. J. Dean投手は、故障のため移籍後は一試合に登板することもなく引退してしまいました。

Emilio Bonifacio (for FLA 2009-2010)
200G 710PA 102R 1HR 37RBI .254/.308/.314 33SB

Jake Smolinski (for FLA)
77G 322PA 50R 7HR 31RBI .283/.379/.448 2SB (2009 for A)
109G 443PA 45R 5HR 51RBI .264/.318/.383 8SB (2010 for A+)

P. J. Dean 記録なし

 こうして振り返ってみると、あのトレードはナショナルズ側に大きくプラスだったと結論付けてよいのではないかと思います。

0 件のコメント: