2008年11月11日火曜日

Trade: Olsen, Willingham→Nats、Bonifacio, Dean, Smolinski→FLA

 マーリンズとの2対3のトレードに合意との報道。

 Emilio Bonifacio内野手と、マイナーのP.J. Dean投手Jake Smolinski内野手の計3人の若い選手を手放し、いずれもメジャーで3年程度の実績があるJosh Willingham外野手とScott Olsen投手を獲得します。

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【Washington → Florida】

 Emilio Bonifacio二塁手(24歳)は、つい先日記事を書いたばかりでしたが、Jon Rauchとのトレードで今季半ばにDバックスから移籍し、将来の二塁手として期待されていたはずでしたが、シーズン終盤のAnderson Hernandezの活躍であっさり見切られた形になりました。個人的には、Hernandez以上の将来性を感じていたのですが・・・。マーリンズでも(Dan Ugglaはいるもののトレードかポジション変更が予定されており)レギュラーとして出場するでしょうから、ここは来季はっきり明暗が分かれそうです。

 P.J. Dean投手(20歳)は今季ぐいっと評価を上げた2年目(07年ドラフト7順目)の右腕。ショートシーズンのVelmontで10試合に先発し4勝1敗。1.57ERA、0.91WHIPと内容も充実し、オールスターにも選ばれました。BAでは将来先発3番手くらいには成長できる可能性があるとされていた選手らしいので惜しい気もしますが、一番の売り時だったのかも知れません。

 そして、Jake Smolinski内野手(19歳)。07年のドラフト2順目、今季前のプロスペクトランキングではBAで11位、BPで9位と高評価を得ていました。今シーズンはずっとフォローしてきました(シーズンレビューはこちら)が、Aで打撃に苦しみ、少し評価を下げ、現状ではメジャーのレギュラーが取れるかどうか微妙な選手くらいに言われていました。

 3人とも、新天地で活躍してくれることを願っています。

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【Florida → Washington】

Scott Olsen (2008 season for FLA)
33G(=GS) 201.2IP 8W 11L 113K 69BB 4.20ERA 1.31WHIP

 24歳の左腕投手。3年連続30先発以上を記録し、マーリンズのローテーションの柱として活躍。2年連続2桁勝利を上げた後、今季は8勝止まりとなりました。もともとは速球派でしたが、現在は90マイルが精一杯で、むしろコントロールとスライダーで勝負するスタイルになっています。今季の成績低下の要因はいろいろと考えられますが、奪三振率の低下(K/9IP:06年8.3→07年6.8→08年5.0)はかなり顕著で、懸念材料。当然チームとしては、先発ローテーションの柱として大きく花開いてくれることを期待しているでしょうが、さてどうでしょうか。登板過多の気配がありますので、メディカルチェックはちゃんとやって下さいね。

 それから、またしても、こういう選手を集めるのね・・・という感じですが、素行の悪さでも有名です。グラウンドでの乱闘騒ぎは数知れず。高速道路でスピード違反で捕まりそうになったところを逃走ということもやらかしています(もちろん後でしっかり捕まる)。

Josh Willingham (2008 season for FLA)
102G 351AB 54R 15HR 51RBI .254/.364/.470 3SB

 29歳の外野手。右打ち。こちらはマーリンズファンからHammerというニックネームで人気を集めていた選手で、素行面をとやかく言われることはありません。27歳だった06年に打撃を活かすために捕手から外野手に転向して29本塁打を放ち、遅咲きながら長打を打てる選手として開花しました。ナショナルズに欠けていたパワーバットであり、今季は背中の故障でシーズンのうち2か月ほどを欠場しましたが、それでも15本塁打とナショナルズの誰よりも多い数字でした。問題は、この成績低下が故障のためか衰えのためか、という点。フロントはケガのためと判断したのでしょうが、不安です。

 Elijah Dukes、Lastings Milledge、Austin Kearnsに加え、またも右打者です。控えもWillie Harris、Roger Bernadinaなどで駒はそろっている状況なので、そういう意味ではチームにフィットしません。どうするのかな。更なるトレードを考えているかもしれません。ベストはKearnsを出すことでしょうが難しいんでしょう。あるいは、これがNick Johnsonの故障への備えと言うことでしょうか。元捕手ということで捕球術はそれなりに優れており、一塁手としても練習すれば使えるようになると言われています。

 獲得した両選手の契約状況ですが、いずれこのオフに初の調停申請権を取得したばかりです。つまり、あと3年、2011年シーズンまで雇えます。

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【Evaluation】
 09年だけで見れば、ナショナルズのほうに軍配が上がるのは間違いないところ。今シーズンあまりパッとしなかった実績ある選手たちを、経費節減に追われるマーリンズの懐事情も考慮して底値買いしたというのが基本構図でしょう。対価は、メジャーの準備は(おそらく)できているものの足と守備はあるがパワーのない二塁手とまだシングルAの若手2枚(どちらも主力選手になれるとまでは見られていない)。普通に来シーズンの優勝を目指すチームであれば、うまくやった、と評価することができるトレードでしょう。

 ただし、まだまだ再建途上にあるナショナルズにとっては、もう少し長い目で検討する必要があります。OlsenとWillinghamが、このまま衰えてしまえばもちろん失敗トレードですが、仮に復活してくれたとしても、上で見たようにポジションが結構埋まっているためマイナーで育ってきている若手(直近で言えば、Jordan ZimmermannやBernadina)の機会を奪ってしまうという側面があります。他方で、財政的な観点からは、少なくとも、両選手ともFA前ということで、そこまで重い年俸負担にコミットしてしまわないので、今後の動きやすさは確保される。これは良い材料。見極めは難しいけれど、契約延長という方法もあります。

 シングルAの選手を2人も含むトレードのため、彼らがどれくらい育つか(育ってほしい気持ちもあるけど)予想することは困難で、現時点での評価はなかなか難しいわけですが、個人的にはこのトレードにいい印象を持っています。Willinghamはナイスガイだし、Olsenも環境を変えて再起してくれることを期待しています。

 Matt HolidayがHuston Street等とのトレードでA'sへ、といった報道が出るなど、いろいろと騒がしくなってきたストーブリーグですが、ナショナルズも思い切って動きました。これはもしかするとMark TeixeiraかAdam Dunnの獲得も本気かも知れませんね。(もちろん、だぶつく野手をどう処理するかという問題も生じるわけですが。)

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