今春のナショナルズのキャンプに参加している選手については、これから日々フォローしていきますが、何人かの元ナショナルズ(このブログを始めてからの3年間にナショナルズを退団していった選手たち)が他球団のマイナー契約招待選手になっているとの報道に接し、この機会に主な選手の近況についてまとめてみました(主な退団選手の一覧はこちら)。
まずその前に、スプリングトレーニング参加選手たちについて制度的な背景を説明しておきます。
MLBでは各球団がメジャー契約(少なくとも、メジャー最低保証年俸:約4000万円が支払われます)を結べる選手は40人、シーズン中にベンチ入りできる選手はその中から25人と定められています(DL制度については割愛)。ですが、スプリングトレーニング開始時点では各球団とも50~70人の選手が参加しています。メジャー契約を結んでいる40人ロースターの選手に加え、マイナー契約招待選手(non roster invitees)が参加しているからです。招待選手というのは、マイナー契約ながら、球団からメジャー契約の選手たちと一緒にスプリングトレーニングに参加することを認められた選手です(それ以外のマイナー契約だと、マイナーリーグの選手たちのスプリングトレーニングに参加します)。
ただ、招待選手にも内実は2種類あります。1つは期待のプロスペクト。まだ40人ロースターに入れるほどではないが将来を嘱望されている選手に、メジャー選手と過ごすという経験を積ませることが趣旨です。今季のナショナルズでは、Derek Norrisがこれに当ります。もう1種類は、オフにメジャー契約を得ることはできなかったものの、開幕25人ロースター入りを目指してチャレンジする権利を与えられた選手。若くても実力が微妙な選手(オフにDFAされた先発4人Atilano、Chico、Martis、Martin)もいれば、キャリアの終盤に差し掛かっている元一流選手(Matt Stairs)もいます。球団側からしてみればうまくいけば儲けもののお試し期間といった感じですが、選手側は選手生命がかかっているので必死のはずです。実際に招待選手から開幕ロースター入りを果たすのは各球団ともせいぜい2、3名といったところです。
前置きが長くなりました。つまり、元ナショナルズの選手は、今も40人ロースターには入っている選手、マイナー契約招待選手として生き残りを賭けている選手、まだFAで仕事を探していたり、引退もしくは消息不明でMLB球団に所属していない選手と、大きく3つに分かれています。
今日はまず、40人ロースター選手です。(基本的に退団した順)
Jon Rauch (TOR)
昨年はツインズで21セーブを記録。終盤は、やはりナショナルズから行ったCappsがクローザーに入ったためセットアップに回りましたが、防御率3.12は立派。ALDSでも登板。FAとなりブルージェイズと1年375万ドルの契約を結び、やはりセットアップとして期待されています。
Brian Sanches (FLA)
珍しく、もったいなかったなあと思う選手。08年にAAAのオールスターに選ばれるほど結果はマイナーで残しましたが、シーズン序盤に昇格した際にダメだったこともあり、オフにマイナーFAとして退団。ところが、マーリンズでは過去2年間で計108試合に登板して防御率2.40と大奮闘。今季もチーム構想に入っています。
Joel Hanrahan (PIT)
獲得したBurnettが好投しているので、(MilledgeとMorganの要素を加味してもしなくても)ナショナルズとしては成功トレードと思われていますが、成績を比べてみると全く遜色ありません。両投手とも成績を向上させるとは、まさに理想的なトレードだったと言えます。今季はクローザーとして起用される可能性が高くなっています。
Hanrahan 105G (4W 2L 6SV 25HD) 101.0IP 137K 46BB 3.03/1.26
Burnett 106G (2W 8L 3SV 25HD) 88.1IP 82K 33BB2.45/1.12
Emilio Bonifacio (FLA)
内野でも外野でもレギュラーにはなれませんでしたが、スーパーサブとしてなんとか生き残っているという感じです。
Austin Kearns (CLE)
昨季はFAとしてインディアンズと契約し、前半戦は主にレフトでレギュラーとして84試合の出場で.272/.354/.419という好成績を残し、フラッグディールでヤンキースにトレードされるほど価値を上げました。しかし、ヤンキースでは成績を落とし、プレーオフのロースターには入れず。オフにFAとなり再度インディアンズ入り。Sizemoreが復帰してくれば、4番手の外野手となる見通しです。いちおうキャリアを再生していますね。
Matt Capps (MIN)
フラッグディールで移籍したツインズでは、ナショナルズでの成績を上回る好投で、クローザーとしてチームのプレーオフ進出に貢献。年俸調停3年目(最終年)で710万ドルという高額で再契約しました。TJ手術で1年離脱していたJoe Nathanの調子しだいですが、現時点では今季もクローザーと目されています。
Adam Dunn (CHW)
守備機会を求めていたはずですが、Paul Konerkoもいるので、ほぼ専属DHとなる見通し。球場的にはホームランが増えても不思議はありませんが、さて。
Scott Olsen (PIT)
年俸調停対象でしたが解雇され、パイレーツと契約。先発ローテーションの枠を争う立場です。どうせなら25人に残って、ナショナルズ戦で投げて欲しいな(で、打たれる)。
Joel Peralta (TB)
FAで主力が抜けて弱体化し、クローザーも決まっていないレイズのブルペン。Peraltaが昨季のような投球ができればクローザーも夢ではありません。
Wil Nieves (MIL)
メジャー契約を結べたと喜んでいたのもつかの間。ブリューワーズのキャンプにはメジャー契約の捕手が4人もいて熾烈な競争にさらされています(→正捕手と目されていたJonathan Lucroyが手の故障で出遅れで、チャンスが広がりました)。頑張ってね。
Josh Willingham (OAK)
4番レフトとか言われ、主軸として期待されています。故障なく過ごせるかどうかが全てでしょうね。
Justin Maxwell (NYY)
40人ロースターには入っていますが、さすがに層の厚いヤンキースで25人に残るのは難しそうです。オプションもないので解雇されちゃうのかな。なんていう意見を吹き飛ばすスプリングトレーニングになればいいんだけどなあ。
40人ロースターには入っていますが、さすがに層の厚いヤンキースで25人に残るのは難しそうです。オプションもないので解雇されちゃうのかな。なんていう意見を吹き飛ばすスプリングトレーニングになればいいんだけどなあ。
Juan Jaime (ARI)
まだシングルAでしか投げたことなく2010年は全休していた投手なので、何とも言えません。故障は完治しているのでしょうか?Dバックスが40人ロースターに置き続けていることが驚きです。
Aaron Thompson (PIT)
こちらも実質AAまでしか上がってきていません。しかも昨季は結果を残せていませんでした。
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