2011年12月24日土曜日

2011 シーズンレビュー2: 投手MVP Clippard

投手陣。

【先発】
シーズン序盤は開幕ローテの5人(Livan、Lannan、Zimmremann、Gorzelanny、Marquis)が大きく崩れず、最初に6人目の先発投手が必要となったのは実に5月29日のことでした。故障離脱したGorzelannyに代わって最初に呼ばれたのはMayaでしたが、さっぱり振るわずわずか4試合でマイナー降格。復帰したGorzelannyがまたしばらく先発しましたが、結局7月下旬にブルペンに降格。また、フラッグディールで予定通りMarquisが移籍し、開いたところにDetwilerと王建民が入りました。Zimmremannが投球回数制限に到達したところでStrasburgが復帰。9月にはLivanをシャットダウンして開いたスポットを使い、Milone、Peacockの期待の両ルーキーを試しました。ほぼフロントの開幕前の予定通りの動きができたのではないでしょうか。

チーム最多勝は自身初の2桁勝利を達成したLannan。打線の援護に恵まれず過去3年の勝ち星が9,9,8でしたが、遂に2桁勝利。チームでただ1人シーズン通じてローテーションを守ったことも高く評価してあげたいと思います。相変わらず世間的な評価は低いのですが、速球の平均球速はデビューした2007年の86.5マイルから年々上がり、昨季は88.6マイル、そして今季は89.6マイルに達し、奪三振率、被本塁打率も明らかに向上。一皮向けた感があります。

とはいえ、そんなLannanもZimmremannとStrasburgの輝きの前に霞むのは致し方ないところ。

ZimmremannはTJからの完全復活。防御率3.18はリーグでも10位に入る数字。奪三振数もチーム1位。シーズン序盤は空振りが取れない、三振が取れないと心配した時期もありましたが、オールスター後の奪三振率はTJ前の水準まで戻しました。試合終盤に疲れが見えたところで一発を打たれる傾向(被本塁打率は高くないため、球場観戦した試合で打たれたので印象が強いだけかもしれませんが)を克服すれば堂々たる一線級の投手です。

Strasburgはもう語るまでもありませんね。わずか5試合の登板でしたが、TJからの順調な回復どころか、さらに進化して戻ってきたという強烈な印象を残してくれました。

Livanはもう限界だと思います。良いLivanと悪いLivanがはっきりしているのは例年どおりですが、今季は悪いLivanが圧倒的に多かった。本人は、ロングリリーフとしてでもナショナルズに残りたいという発言をシーズン終盤から繰り返してきましたが、フロントの構想に入っていないことは明らか。マイナー契約の可能性はあるでしょうが、これだけの功労者をマイナー契約というのも・・・。どこかの球団(できればNL東地区以外)に移籍して、もう一花咲かせてくれることを願っています。ちなみに、野球を辞めてもゴルフでいつでもプロになれる腕前だそうです。

王建民はシーズンが進むにつれて球速も上がり、シンカーの切れも良くなり、復活を印象付けました。早々に再契約に成功していますので、来季もローテーション投手として期待。肩の故障からの復活はなかなか例がないのですが、このまま成功してくれることを願っています。

9月に昇格したMilenoとPeacockの2人は、印象的なメジャーデビューを果たしました。2人に共通するのは、全くビビッていないこと。過去のルーキー達(Mock、Balester等)はどうしてもボールが上ずっていましたが、この2人は実に落ち着き払ったマウンドさばきを見せてくれました。特にMiloneの内を突く投球術には恐れ入りました。オプションやら何やら契約関係もあり開幕ローテーションとはいかないかもしれませんが、大きな期待をかけています。

【ブルペン】
スプリングトレーニングで大不振だったStorenが、リーグ4位となる43セーブを記録することになるとは誰が予想したでしょうか。開幕次点で事実上のクローザーだったBurnett調子を崩したこともあって、早くも4月後半には9回を任されるようになり、多少の波はありましたがクローザー適性を完全に示しました。夏にトレードの噂もありましたが手放さなくて良かったとほっとしています。

しかし、インパクトでStorenをしのいだのがClippardの活躍ぶり。昨季に続いて打者を圧倒する投球。時々リトルリーグに中学生が混じっているような気がすることさえありました。認められてオールスターにも出場し、勝ち投手にもなりました。

大きな可能性を感じさせたのがHenry Rodriguez。スプリングトレーニングの出遅れに始まり、昇格直後は荒れるにもほどがあるだろうと叫びたくなるほどの悲惨な登板も多かったのですが、シーズンが進むにつれて安定し、100マイル近い速球に加えて変化球も切れるときは切れまくり、良いときはClippardをしのぐ支配的な投球を見せてくれました。

開幕直後はクローザーも勤めたBurnett。一時、調子を崩し心配しましたが、投球フォームを変えた後半戦はかなり安定。少なくとも対打者ではしっかり結果を残しています。もう1人、試合終盤でいい働きをしてくれたのがCoffey。シーズン通じていい仕事をしてくれました。FA退団しましたが、再契約したい投手の1人。逆に全然ダメだったのSlaten。故障離脱の前も後も出れば打たれる状態でした。

若手では、Cole KimballとRyan Mattheusが目立ちました。ただ、両投手とも肩を痛めて途中離脱。Mattheusはリハビリを経てシーズン終了間際に復帰しましたが、Kimballは手術に踏み切っており、早くても来年夏の復帰と言われています。肩だけに心配。それにしてもRiggleman前監督によるKimballの起用方法には大きな疑問が残りました。こうして故障されただけになおさら。ほんとにもう。9月にメジャーデビューを果たしたSeverinoは奪三振率の高さが目立ちますが、サンプル数が少ないので何ともいえません。

ロングリリーフとして起用されたのが、先発から降格となったGorzelanny、Balester、Mayaそれにシーズン終盤になってStammen。この中ではStammenの好投が目立ちました。もうちょっと使ってやってくれてもいいのにと思ったほど。Gorzelannyもブルペンに回ってからはなかなか好投、特に左打者相手にはしっかり結果を残しました。

【MVP】Tyler Clippard
Lannan、Zimmremannにあげたいようにも思いますが、やはりClippardを外すことはできません。圧巻でした。

当ブログの勝手MVP Pointでも、Lannanとともに4W。ブルペン投手がこの勝手MVPに選ばれるチャンスはそんなに多くないはずなのに4度も。それだけ試合の流れを左右した好投が多かったということです。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

Milone, Peacock, Norris, A.J Coleの四人をOAKのGio Gonzalezとトレードで出してしまいましたね。私もPeacockとMiloneにはとても感心していたので、出して欲しくなかったのですが、15年まで支配下における準エース級の左腕の前には目がくらんでしまったんでしょうか・・・・。まだまだマイナーのデプスはかなりありますが、あまり感心できない動きです。

FC さんのコメント...

いつも読ませてもらってます。シーズンレビューシリーズもありがとうございます。参考になります。

PeacockとMiloneはトレードされてしまいましたがどう思いますか。GGはいい投手ですが、2人に加えてColeにNorrisはさすがに払い過ぎではないかと。
それと、センターはどうするんでしょうね?

estoppel さんのコメント...

FCさん
メリークリスマスです。
コメント頂きありがとうございました。ものすごく久しぶりにコメントを頂き感激です。

Gio Gonzalezのトレードは大激震でしたね。この4人は払い過ぎというコメント、全くその通りだと思います。特にMilone、Peacockの2人はいつでもメジャーで投げられる状態でしたから、せめてどちらか1人は残して欲しかったというのが、正直な感想です。AAAでチャンスをうかがう先発投手がMayaくらいしかいなくなってしまいましたから。このトレードについては別記事を準備しています。しばしお待ちください。

センターはまだ探しているようですね。このオフはもう諦めてBernadinaをもう一度試してやってくれないかなあと思います。来期はWerthでもいいのかもしれませんが、年齢的にも中長期的な回答にはなりません。シーズン中、あるいは来オフにも動きがありそうです。個人的にはBernadinaが答えなんですが。

estoppel さんのコメント...

匿名さん
コメントありがとうございます。返答が遅れてもうしわけありません。なんでコメント管理画面に表示されてなかったのか謎ですが、すいません。

Gonzalezの対価については、MLBにおけるプロスペクトに詳しい方ほど厳しい見方をされていますね。PeacockとMiloneのせめてどちらかは残して欲しかったな、と思います。本当の評価は数年後でしょうが、Peacock1人でもGGを越えられそうで心配です。