2009年10月10日土曜日

トップ・プロスペクトたちの1年

 先日傘下のマイナーチーム毎のシーズン・レビューを書きましたが、シーズン開始前に個人的に注目した選手12人の今季も振り返っておきます。

 評価のアップダウンで言うとこんな感じです。まとめれば、投手陣には厳しく、野手陣は期待に応えてくれたシーズンでした。

↑↑(赤丸急上昇)
Derek Norris

↑(着実に成長)
Ross Detwiler
Chris Marrero

Danny Espinosa
J.P. Ramirez

→(一進一退)
Josh Smoker
Michael Burgess
Destin Hood

↓(残念でした)

Collin Balester
Jack McGeary
Colton Willems
Bill Rhinehart


【Pitchers】
Ross Detwiler, LHP, Harrisburg (AA)→MAJOR→Syracuse(AAA)→MAJOR
14G(1-6) 70.2IP 42K 29BB 5.35ERA 1.63WHIP (MAJOR)
10G(4-2) 49.1IP 42K 20BB 3.10ERA 1.54WHIP (AAA)
6G(0-3) 27.1IP 28K 10BB 2.96ERA 1.39WHIP (AA) 
 初挑戦となるAAで開幕。開幕時の期待は9月にメジャー昇格できれば成功、という程度のものでしたが、4月後半から好投しはじめ、5月17日までの6試合で、27.1回を投げて28奪三振に対して10四球、支配的とはいえないまでも十分な成績を残し、AAAへの昇格は視野にありました。
 そして、チャンス(あるいは落とし穴)は突然にやってきました。Scott Olsenの故障離脱でメジャーの先発ローテーションに空きが出て、5月18日にメジャー昇格、初先発。当初はスポットスタートと言われていましたが、最初の2試合で5回自責点2、6回自責点1と好投。ストライク先行の投球が高評価を得、ローテーションに定着。ところが、この後ボールが先行するようになり、たまに好投すると打線の援護がなく、未勝利のまま7月のオールスター休みにAAAに降格させられました。
 しかし、このまま悪い感じでシーズンを終えなかったところは偉かった。AAAできっちり修正し、8月14日にようやく今季初勝利(それまで、AA、AAA、メジャー併せて0勝10敗)を記録すると、その後4戦で3勝と勢いに乗って、セプテンバーコールアップで再昇格を勝ち取りました。
 投球回数制限を常ににらみながらも好投を重ね、遂に9月28日に念願の初白星をあげると9月3日の最終登板でも5回1安打無失点(リリーフが打たれて勝ち星はつきませんでしたが)。9月昇格後は5試合(4先発)で23.2回を投げて1.90/1.23のチーム月間MVP級の成績で、7月の降格時に6.40だった防御率を5.00まで下げてシーズンを終えました。来季は年間を通じてローテーションを守ってくれることを期待しています。


Collin Balester, RHP, Syracuse (AAA)→MAJOR→Syracuse(AAA)
7G(1-4) 30.1IP 20K 14BB 6.82ERA 1.58WHIP (MAJOR)
20G(7-10) 107.1IP 71K 37BB 4.44ERA 1.55WHIP (AAA)  
 昨季はメジャーのローテーション投手として閉幕。当然今季も開幕リーテーションを期待されましたが、スプリングトレーニングで失敗。AAAで開幕すると、5月頃に一時期良くなりましたが、結局そこそこの成績という状況が続きました。7月にDL入りしたJordan Zimmermannに代わってメジャー昇格。しかし、結果は無残なものでAAAに再降格。(投球回数制限に到達したこともあり)そのままシーズンを終了しました。
 球質、球速といった技量的な問題より、精神的なもろさからコントロールを失い、高めに置きに行って打たれるというパターンを繰り返してしまいました。来季もスプリングトレーニングでローテーションを争う立場は与えられると思いますが、ベンチ(まあ監督は代わる可能性が高いわけですが)、フロントの信頼を回復するのは並大抵ではないと思います。

Jack McGeary, LHP, Hagerstown (A)→Vermont(SS)
13G(0-6) 55.2IP 44K 45BB 6.79ERA 1.85WHIP(A)
13G(2-6) 56.1IP 45K 41BB 4.31ERA 1.81WHIP(SS) 
 大学を中退して野球に集中すると決心し、フルシーズンのAで開幕を迎えましたが、まったくダメ。6月半ばにはショートシーズンに降格。今年のドラフト組と対戦するようになり当初は格の違いを見せるかという好投を続けましたが、次第に成績を落とし、気が付けばAとほとんど同じ数字に落ち着きました。問題は、制球力に尽きます。与四死球、ワイルドピッチがとにかく多い。大きく評価を落とした1年でした。

Josh Smoker, LHP GCL(Rk)
10G(4-2) 42.2IP 31K 10BB 3.38ERA 1.31WHIP
 昨年の11月に手術した左肩の故障で出遅れ、Rkリーグからやり直し。6月後半からシーズン終了までローテーションを守り、まずまずの成績を残しました。プレーオフでも第1戦で先発し、5回7安打無四球1失点と好投。飛躍の年とはならなかったのは残念でしたが、まだ20歳。大卒で入ったと思えば、まだまだこれから。期待しています。

Colton Willems, LHP, Potomac(A+)→GCL(Rk) 
6G(1-4) 20.2IP 12K 7BB 7.40ERA 1.65WHIP (A+) 
3G(0-0) 3.1IP 4K 1BB 13.50ERA 2.10WHIP (Rk)  
 06年ドラフト1順目(全体22位)入団ですが、フルシーズン3年目となる今季は散々なシーズンとなりました。まず斜筋を痛めたとかで出遅れ、5月になってA+に合流。最初の2戦で計11回を投げ自責点0と好投し、これは!と期待させましたが、その後4試合続けて激しく打ち込まれると、6月1日を最後に登板がなくなりました。投球フォームの改造を行っていたという説もありますが、6月中旬にDL入り。7月末にRkレベルで短いイニングに登板しましたが、3試合目に1死を取っただけで3失点し、結局これが今季最後の登板となりました。9月から10月に開催されるInstructional Leagueにも名前が見あたりません。
 ずいぶん探したのですが、情報が少なすぎてどういう状況、問題なのか分かりません。誰かご存じでしたら、教えて下さい。


【Hitters】
Chris Marrero, 1B, Potomac(A+)→Harrisburg(AA)
23G 84PA 20H 1HR 11RBI 8BB 18K .267/.345/.387 0SB (AA)
112G 469PA 119H 16HR 65RBI 42BB 97K .287/.360/.464 2SB (A+)  
 昨季は故障でほぼ半年を棒に振り、A+をやり直すことに。開幕からしっかり打ち、5月と7月に、2度のリーグの週間MVPを獲得。8月半ばについにA+を卒業しAAに昇格。来季中にはメジャー昇格も夢ではなくなってきました。一塁守備には未だに難があるようですから、しっかり練習してください。Adam Dunnの後釜は君だ!

Michael Burgess, OF, Potomac (A+)
131G 545PA 113H 19HR 71RBI 54BB 135K .235/.325/.410 12SB  
 長打力は期待に応えるものでしたが、三振数は相変わらず多く、三振率で見てもシーズンを通じて向上なし。この点はがっかりと言わざるを得ません。各月毎に成績に大きなばらつきがあり、6月に.286/.387/.549という素晴らしい成績を残した(結果としてオールスターに選出)かと思うと、翌7月にはほぼ同じ試合数なのに.183/.277/.317と低迷。まだ20歳。成長途上、まだまだ伸びると信じています。

Danny Espinosa, SS, Potomac (A+)
133G 576PA 125H 18HR 72RBI 72BB 129K .264/.375/.460 29SB  
 開幕から絶好調。5月にスランプがありましたが、最初のフルシーズンをしっかりとした成績で終え大きく評価を上げました。特に出塁率には高い評価を与えていいと思いますし、本塁打数も意外に伸びました。課題と言えば、Burgessほどではないにせよ三振が多いこと。
 夏のオールスター期間に開かれたFutures Gameにナショナルズの代表として出場。秋にはCarolina Leagueの年間オールスターにも選ばれました。来季はAAでしょう。ますますの飛躍を期待します。

↑↑Derek Norris, C, Hagerstown (A)
126G 540PA 125H 23HR 84RBI 90BB 116K .286/.413/.513 6SB  
 もう何度も書いていますのでここでは割愛しますが、実に素晴らしいシーズンを送りました。来季以降が楽しみです。

Bill Rhinehart, 1B, Harrisburg (AA)
129G 451PA 99H 12HR 56RBI 31BB 105K .239/.292/.389 7SB  
 開幕から打撃低迷。最後まで調子が上がることなく、フェードアウト。最後はChris Marreroに押し出される形で外野も守っていました。昨季の個人的なアイドルだっただけに、残念です。

Destin Hood, OF, GCL(Rk)→Vermont(SS)
38G 159PA 34H 2HR 24RBI 11BB 45K .246/.302/.333 2SB (SS)
25G 98PA 29H 3HR 24RBI 8BB 19K .330/.388/.614 3SB (Rk)
 開幕を迎えたGCLは相手投手を圧倒し7月末にあっさり卒業。しかし、SSでは昇格直後こそそこそこ打ちましたが、次第に成績を落としてシーズンを終えました。とにかく三振が多く、オーバーマッチという感が否めません。19歳、経験を積んで育って下さい。

J.P. Ramirez, OF, Vermont(SS)
72G 314PA 78H 4HR 39RBI 14BB 45K .264/.306/.407 6SB 
 ここに並べたスタッツではいまひとつのシーズンだったように見えますが、二塁打、三塁打、本塁打、打点ではチームトップ、リーグでもトップ10に入る成績。比較的三振が少ないのも魅力ですが、四球も少ないので、単なる早打ちということか・・・。9月は、わずか6試合ながらOPS1.023といい終わり方をしたのも好印象。来季はフルシーズンのAからスタートでしょう。先が楽しみです。

0 件のコメント: