今回の記事を書きながら、捕手のプロスペクト層の厚さに改めてうれしくなってしまいました。Derek Norrisが驚異的な1か月を送り、Low-Aの投手を打ち砕いているので早く昇格させたいところですが、A+ではSean Rooney、AAではJhonatan Solanoがそれぞれ印象的な活躍を続けていて、つかえている状況です。みんなまとめて1段階ずつ昇格させるか?さらに下には、08年ドラフト5順目のAdrian Nietoなんてのも控えていますから。
Minor League Player of the Month
Pitcher: Craig Stammen
Hitter: Derek Norris
注目選手12人の成績は以下の通り。
【Pitchers】
Ross Detwiler, LHP, Harrisburg (AA)→MAJOR
2G(0-1) 10.0IP 1BB 16K 0.90ERA 0.80WHIP (AA)
3G(0-1) 15.0IP 5BB 12K 4.80ERA 1.33WHIP (MAJOR)
4月後半からHarrisburgで好投しはじめ、5月17日までのAAでの成績は、6試合、27.1回を投げて、28奪三振に対して10四球、防御率3.00と支配的とはいえないまでも合格点を付けられるものでした。AAAへの昇格は時間の視野にありましたが、故障離脱したScott Olsenに代わって5月18日に驚きのメジャー昇格、初先発を果たしました。当初はスポットスタートかと思われましたが、好投で、ひとまずローテーションに定着しています(先日のフィリーズ戦では派手に打ち込まれましたので、次の登板が注目されます)。フォームが安定せずコントロールを乱す欠点が修正できたことが最大のポイント。少なくともハラハラさせられる投球ではありません。
Collin Balester, RHP, Syracuse (AAA)
6G(1-3) 28.1IP 10BB 16K 4.45ERA 1.69WHIP
こうして月間成績を見るとかなりひどいようですが、7失点と大暴発した試合の影響で数字が跳ね上がっており、数字ほど悪い印象は受けていません。直近3試合は計16回で2失点と安定してきています。少なくとも制球は悪くない。6月以降、まだまだチャンスはあると思います。
Jack McGeary, LHP, Hagerstown (A)
5G(0-3) 21.1IP 15BB 18K 7.17ERA 1.83WHIP
与四球も相変わらず多く、4月とほぼ同じ成績です。ワイルドピッチも多くコントロールに苦しんでいる様子が伺われます。ニュースを追っていても不振の原因がはっきり分からないところがもどかしいです。誰か、情報ありませんか?
Josh Smoker, LHP
(故障で出遅れ。おそらくVermontスタート)
Colton Willems, LHP, Potomac (A+)
5G(1-4) 18.1IP 4BB 12K 7.36ERA 1.58WHIP
06年ドラフト1順目(全体22位)入団ですが、いまひとつ期待に応え切れていません。今季は故障で出遅れ、5月になって合流してきました。最初の2戦は5回無失点、6回無失点と好投し、これは!と期待させましたが、その後3試合続けて打ち込まれてしまいました。特に27日の試合では初回1死も取れずに5安打2四球で6失点と散々な目に。この3試合、投げる度に悪くなっていくので、故障再発の可能性も含め、ちょっとどころではなく心配です。
【Hitters】
Chris Marrero, 1B, Potomac (A+)
98AB 28H 3HR 17RBI 3BB 25K .286/.311/.418 1SB
リーグの週間MVPを獲得した週は良かったのですが、最後に少し調子を落とし、打率3割をきってしまいました。それより気になるのは、四球の少なさとそれに伴う出塁率の低さです。長打、打点は期待の水準ですが、もう少しがんばって欲しいところ。まあ、それでも安定した成績であり、いずれAAに昇格するでしょう。
Michael Burgess, OF, Potomac (A+)
88AB 21H 4HR 9RBI 9BB 30K .239/.323/.398 2SB
4月とほとんど同じ成績。打率は少しばかり上がりましたが、長打はむしろ減ってしまいました。こちらはまだ若いんだから、三振なんて気にしないでがんがん元気良く行ってほしい選手。気分良く打っていてこそ、ボールを見ていこうなんていう余裕も生まれてくるでしょうから。
Danny Espinosa, SS, Potomac (A+)
96AB 18H 7HR 12RBI 12BB 30K .188/.297/.427 3SB
長打力はともかく、打率と三振数を見ると分かるように突然の大スランプに陥りました。ただ、月末には調子を戻し、最後の7試合は22打数8安打3本塁打6四球と大当たり。なんだったんだ?どこか故障でもあったのでしょうか(何も情報はありませんが)。とにかく復調してよかった。ほっとしています。
Derek Norris, C, Hagerstown (A)
100AB 37H 8HR 29RBI 14BB 21K .370/.444/.690 1SB
週間MVPも獲得しましたが、1か月を通じて素晴らしい成績を残しました。今季通算成績でも、およそあらゆる打撃カテゴリーでSouth Atlantic Leagueの上位に名を連ね、総合成績とでも言うべきOPS(出塁率+長打率)では1.013で堂々の1位。本塁打11本はチームのマイナー組織で1位なのですが、Low-Aの選手は通常パワーに欠けホームラン数はそんなに多くないだけに驚異的です。先月懸念材料としていた三振数も懸念する数字ではなくなっています。うーむ、これは本格的にトッププロスペクトの仲間入りです。
Bill Rhinehart, 1B, Harrisburg (AA)
75AB 19H 10R 2HR 6RBI 7BB 22K .253/.317/.373 0SB
4月よりは向上してきましたが、期待外れ感が強くなってきました。当初は主軸を打っていた打順も下位に下げられ、出場機会も奪われることが増えてきました。うーん厳しいなあ。がんばれ!
Destin Hood, OF
(おそらくVermontスタート)
J.P. Ramirez, OF
(おそらくVermontスタート)
【チームごとの注目選手】
以下は、チーム毎に活躍が目立った選手を中心に紹介していきます。
Syracuse Chiefs (AAA)
若手投手陣は素晴らしいと言っていいでしょう。先月Pitcher of the Monthに選んだTyler Clippard(1.50/1.11)は好調を維持。少し四球が増えましたが、イニング数(18)に近い三振数(17)を記録しています。まさに、ナショナルズブルペンの最後の切り札。いずれ昇格するでしょう。同じブルペンのJay Bergmann(0.00/1.06)は、好投を続けたことでメジャーに(再度)呼ばれしっかり成績を残しています。一方、先発陣では、3試合の先発全てで好投し、5月20日に念願のメジャー初昇格を果たしたCraig Stammen(1.06/1.18)。メジャーでもまずまずの投球を見せており(少なくとも四球連発ということはない)、ローテーションに定着しつつあります。他にも、元ドラ1サンドイッチピックながら芽が出ないままプロ9年目26歳のシーズンを迎えている新加入のJ.D. Martin(2.41/0.83)が6試合、33.2イニングを投げて、29奪三振に対してわずか3四球というブリリアントな成績を残して、メジャー昇格に向けて猛アピールを続けています。
打者でも同じようにベテランたちが猛アピール。28~29歳のBrad Eldred(1B/.327/.369/.606/6HR)、Jorge Padilla(OF/.382/.440/.471)、Corey Patterson(OF/.303/.354/.526/5HR)の3人にチャンスは訪れるでしょうか・・・。若手ではAlberto Gonzalez(SS/.311/.319./.367)が安定したバッティングを見せ月末にメジャー昇格を果たしました。
Harrisburg Senators (AA)
相変わらずチームとしては勝ち星が伸びません(とはいえ、メジャーのナショナルズよりはましですが)。打線ではLeonard Davis(OF/.294/.333/.459)が復調の兆しを見せていますが、昨季のような長打力はまだ発揮していません。他には、期待の若手捕手陣の1人である23歳のJhonatan Solano(C/.294/.321/.451)、新加入でRhinehartの出番を奪いつつあるMatthew Whitney(1B/.283/.406/.453)あたりがそこそこの成績。
投手陣もあまりさえません。ブルペンのZechry Zinicola(2.31/1.46)が引き続きまずまずの投球。先発では、Potomac(A+)で好投して5月はじめに昇格してきたErik Arnesen(3.60/1.28)がこのレベルでも25回で23奪三振という力強い投球を見せてくれていますが、他はどうもなあ・・・。
Potomac Nationals (A+)
トッププロスペクト3人以外では、ここでも若手捕手陣の1人、06年ドラフト8順目入団23歳Sean Rooney(C/.344/.400/.594)が大活躍。チーム全体の打撃が低調な中で、孤軍奮闘しました。ヒット22本のうち10本がダブル、2本が本塁打と、パワーのあるところを見せました(マイナーでのダブルは将来パワーがついてくればスタンドに届くようになるとの評価法もある)。
投手陣は先頭を切ってAAに昇格したArnesenだけではなく、今月も好成績の投手が目白押し。リーグの週間MVPを獲得したBradley Meyers(1.55/1.24)、Tom Milone(2.03/0.94)だけでなく、Jeff Mandel(3.26/1.09)も4月から引き続き好投。それに4月は最悪だったWilliam Atwood(3.08/1.25)も26.1回で29三振を奪うなど完全復調。ブルペンも(あまりにも多くなりすぎるので割愛してしまいますが)好投しており、月間のチーム投手成績が3.26/1.25という信じがたく良い数字を残しています。そんな中、Willemsだけが置いてけぼりを食っている感じです。
Hagerstown Suns (A)
08年ドラフト組の中で何人かの選手が頭角を現してきました。打撃陣で最も目を引くのは、16順目のTyler Moore(1B/.340/.396/.489)。エクステンディッド・スプリングトレーニングで開幕を迎え、ショートシーズン行きかと思われていましたが、5月上旬にSunsに合流してからはNorrisに引けをとらない活躍です。他にも、4月は不振だった17順目のJose Lozada(SS/.301/.347/.376)、19順目のStephen Lombardozzi(2B/.327/.417/.413)、22順目のChris Curran(OF/.293/.343/.402)が高打率を残しています。
先発投手陣では、ドミニカ生まれのMarcos Frias(2.08/1.12)が4月に続き、目覚ましい好投。Terrence Engles(2.45/1.16)と08年ドラフト6順目のPaul Demny(4.50/1.35)をあわせた3人は、イニング数を超える三振数を記録しており、今後が楽しみです。
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